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別れ際に「じゃあね」と言ったはずなのに、お互いの歩く方向がたまたま同じで、なんとなく気まずいまま並んで歩き続ける――そんな都会の日常に潜む微視的な距離感と、言葉にならない心理的サスペンスを、骨化されたポスト・パンク・ファンクのグルーヴに落とし込んだ、BPM132(Eマイナー)の極めて硬質で内省的なストリート・スローコアです。楽曲の核となるのは、完璧にグリッド化されたダンスミュージックを拒絶する「12ms(ミリ秒)遅れて着地するレイト・ポケット(12ms late-pocket drag)」。16分音符単位で細かく明滅するハイハットのゴースト・フリッカー、反復するたびに音量(ベロシティ)が減衰して自信を失っていく4小節のベースループ、そしてフレーズの途中で不規則に消失するキックドラムが、足並みの揃わない二人の歩幅を冷徹に描き出します。
楽器構成は、コード(和音)を完璧に排し、すべて単音だけで冷たく紡がれるエレキギターの低音ミニマルリフのみ。しかし、サビ(コーラス)に突入した瞬間、それまで狭く密閉されていたステレオ幅(モノラル寄り)が左右へと劇的に全開放され、ギターもワイドに配置された「2音の開放コード」へと変異(ミューテーション)する、鮮烈なステレオ幅拡張を敢行。さらに、4/4拍子の小節線に対してフレーズの開始位置が毎回1拍ずつ前方へずれていくトリッキーな構造(1-beat forward shifting)を持ちながら、サビが予定調和を破って「2小節早く前倒しで襲来する(2-bars-early arrival)」ため、聴き手の脳内に心地よい目眩を引き起こします。ボーカルはマイクから18インチ(約45cm)の距離感で捉えられた、ピッチ補正(オートチューン)無しの男性バリトン。ブリッジ部分で発生する「会話的なタイミングのズレ」すらあえて編集せずそのまま残すことで、生々しい人間味を演出しています。最後は究極の引き算を経て、すべての楽器が同時に剥ぎ取られ、残された「靴音の環境音(フットステップス)」だけがセンターで寂しく時を刻むなか、最後の足音がアスファルトを叩いた瞬間、マイナス1.2 LUFSの透明なリミッターがスパッと完全な真空の静寂へと遮断。解決のコードを一切鳴らさない、聴き手の輪郭を鋭く削り出す芸術歌曲です。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。