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超能力者は甘味を好む傾向があるという。
事実、僕の知っている超能力者「Cola Bugs」は、1日最低でも3本のコーラを飲んでいたし、しかもそれが常温でなければならなかった。彼いわく、冷たい炭酸は「予知能力を乱す」らしい。僕には理解できない理屈だったが、彼はいたって真面目だった。。
「この世界はね、泡でできてるんだ」
彼はそう語って、瓶のコーラを傾けた。泡の音が静かな部屋に広がって、まるで宇宙の片隅から届いた微かな信号のように聞こえた。
「あとね、君のとこの電子レンジ、3日後に爆発するよ。でも心配いらない。その代わり、世界は救われる。」
正直なところ、僕は何の話かさっぱり分からなかったが、彼の目にはある種の"正しさ"が宿っていた。
彼の話によれば、宇宙というのは、実は一つの巨大なパラドックスでできている。時間は線ではなく、コーラの泡のように無数に生まれて浮かんでは闇に消える。そして彼は、その全ての泡の流れを読めるのだという。
3日後、目の前で本当に電子レンジは爆発した。音は小さく、まるで宇宙の片隅で猫がくしゃみをしたようだった。
「君が電子レンジを観察していなかったら世界は救われなかった」と彼は言った。
「見ていなかったら未来は興味を持たなかったからね。宇宙ってのは誰かが見てくれたってだけでだいぶ優しくなれるんだよ。」
⸻彼はそれきり姿を消した。
僕の手元には、空になったコーラの瓶と、ひとつのメモだけが残されていた。
「すべては泡である。そして泡には中心があって君と同じ形をしている。」
それから僕もコーラを飲むようになった。泡の音に耳を澄ませながら、たまに思うのだ。
宇宙の正体は、孤独なただの寂しがり屋なのかもしれない。
そしてそれは、案外悪くない真理だとも思う。
多数のJAZZコンテストで優勝を重ね、近年国内外の様々なアーティストワークで活躍するトランペッター葛西レオを中心に2024年7月に結成。以来毎回チケット完売の大好評ライブ企画を開催。 今年約2000組のアーティストの中から”今後のエンターテインメント業界に新風を巻き起こし新たな芸術の世界を切り開くJAPAN VALUEの存在“として、宮本亞門らによって日比谷フェスティバル2025のNEXTアーティストに選ばれ、東京ミッドタウン日比谷にて昼夜ワンマン公演を行う。 '25全編オリジナル楽曲によるアルバム『WADO』リリース予定。ストレイトアヘッドなジャズの王道スピリッツを継承しつつ、現代的なアプローチと演奏力で熱い音魂を繰り広げる新進気鋭のJAZZクインテット