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見知らぬ他人の歩調がたまたま自分と完全にシンクロし、背後からさらに三人、四人と足音が重なっていく――都会の路上で発生する「名付けようのない集団的同調(コレクティブ・スローコア)の狂気と身体的衝動」を、ミニマルで野蛮なガレージ・ロックの枠組みに閉じ込めた、BPM112(Aマイナー)の極めて硬質で不敵なアート・パンクです。楽曲のすべての起点となるのは、冒頭からモノラル(mono)で不気味に響き渡る「アスファルトを叩くリアルな靴音の環境音(recorded-footstep loop organism)」。その足音の周期(ステップレート)から侵入してくる生々しいアコースティック・キックと、すべての拍頭で床を叩き割るように激しく炸裂する「肉体的な踏み鳴らし(Physical stomp)」、そして左右のステレオ幅に敷き詰められた不気味な「人間の呼吸音(非音楽的なブリージング・ループ)」が、安易なエレクトロニクスを徹底的に排除した原始的なヒューマングルーヴを形成しています。
楽器構成は、コード進行による情緒的な誘導やストリングスによる演出を完全に拒絶し、単音のルート音(根音)だけを無機質に、かつ過激に歪ませて叩きつける「鈍器のようなギターとキック(blunt guitar-and-kick setup)」のみ。ボーカルはマイクに唇が触れるほどの至近距離で捉えられた、平熱のフラットな男性バリトンのリード。それがサビ(コーラス)に入った瞬間、4人の完全にチューニングのズレた喉の割れを伴う「剥き出しの群衆の怒号(4-voice massive shouting hook)」へと雪崩れ込み、メロディとしての解決(レゾリューション)を完全に放棄したまま「SAME」という呪術的なリフレインを執拗に繰り返します。最大の見せ場は中盤のブリッジ。すべての爆音と残響(ディレイテール)が何の前触れもなくノーモーションで完全遮断され、一瞬にして完全な真空(絶対零度)の静寂へと突き落とされる「4小節間の構造的崩壊(structural collapse)」。息を呑む静寂のなかで、一人の生々しい「ため息(Exhale)」だけが耳元で鳴り響いたのち、次のダウンビートの瞬間に何のビルドアップ(上昇音)も挟まず、突如として再び爆音の壁(Wall of sound)が脳内へ直接殴り込んでくるカタルシスは圧巻です。最後は肉体が限界を迎えるまで叫びを繰り返した刹那、すべての音が剥ぎ取られて冒頭の不気味な靴音だけが残り、最後の足音がアスファルトを叩いた瞬間、マイナス1.0 LUFSの透明なリミッターがスパッと完全な真空の静寂へと遮断。安易な連帯や希望を歌わず、ただ「身体的な事実」だけを提示する、息をのむほどに冷徹で強烈な傑作トラックです。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。