「さよなら。」の、傷心が癒える頃、
瘡蓋の上に蓋をした僕は、又、歩く。
4月〇〇日(〇)36度7分
少し温かいが平熱である。
春を奏でる。染井吉野は【卯月】、初めまして。を、僕にくれる。
君の魔法にかけられたのは【皐月】、躑躅の香りは知らなかった。
距離はまだ遠いままなのに、今日もまた白昼夢を見てしまう…
欲張りな僕が、僕を自身を許せる様に。と、願いを込めました。
【水無月】、雨降り、傘はまだ開けないままだ。何も変わっていない。
夏を奏でる。渡り鳥の群れは【文月】、想ひ出。を、僕にくれる。
君の魔法は溶けることなく【葉月】、花火の儚さも知らなかった。
酔いはまだ覚めぬままなのに、宵もまた勇気を出せない…
臆病な僕を君は、「許してあげる。」と、微笑んで魅せました。
【長月】、十五夜、夏の匂いが残る。まだ…僕は何も変わっていない?
9月〇〇日(〇)36度3分
平熱。でも…最近、熱っぽい様子…
この頃か、元々か、本当は解っている。
気づかないままで…いたいのに何故…
鍵を掛けた心が、開き出す。そんな、音がしている。
秋を奏でる。生温い風は【神無月】、安息。を、僕にくれる。
【霜月】、それは君の魔法が白い息に包まれ始めた瞬間、
嗚呼、僕は気付いてしまった。嗚呼、何故気付いてしまった。
これは、僕の物語なんだ。僕が主人公なんだ。
その言葉のひとつひとつが…この記憶の全てが、宝物。
やがて、僕の全てが失くなっても変わらない。宝物なんだ。
冬を奏でる。兎眠る月は【師走】、喜び。も、悲しみ。も、暮れる。
【睦月】、君の魔法が解けると気付いた僕に、そっと訪れた…
「大好きです。」と、君から告げられた【如月】、それはまるで夢。
大好きでした。と、僕から告げた【弥生】、今まで、ありがとう。
4月〇〇日(〇)36度4分
平熱。なんだか、ずっと、熱っぽい様子。
この頃は、近頃は、認めているつもりだった。
気付いたら少しだけ、胸が苦しくなった。
鍵を掛けた心が、動き出す。そんな、音がしている。
追伸。
そう言えばいつかの春に言いそびれた言葉がありました。
春を奏でる。染井吉野は【卯月】、何年先も大好きです。
- Lyricist
heartphilia.E.merrybell
- Composer
aria.C.millefeuille
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