離してはいけないのジャケット写真

歌詞

Z橋で待つ

岩下啓亮 Sardine

十代のころに

味わった絶望は

三十歳を過ぎても

未だに変わらない

くたばりかけの貨物列車が

のろのろと引きずられている

黒い塊が次々に

夕焼けに流しこまれる

そして俺はかなわない

思いを胸に抱いて

鉄柵を乗り越えて

ハモニカを吹いている

Z橋で待っている

きみが来てくれるといいな

人間関係を

希薄に感じると

原っぱに飛びこんで

土の匂いをかいでた

煙草工場の甘くて苦い

匂いが立ちこめている

痩せっぽち野良猫が誰かさんの

古靴を咥えて走る

そして俺は所在なく

紫に染まった

空を見渡しながら

林檎を頬張っている

Z橋で待っている

ここで頑張っている

航空自衛隊の

練習機が白い

雲を吐きだしながら

秋の終わりを告げる

操車場を跨ぐZ橋のたもと

線路際コスモスが揺れている

あゝそれでもやっぱり季節はめぐる

この季節を過ぎればきみはどこか遠い

そして俺は喋りすぎて

喋るのをやめ

かんじんのことだけは

口に出せずに、消えた

Z橋で待っている

どうか気がついておくれ

Z橋で待っている

きみが来るような気がしてる

  • 作詞者

    岩下啓亮 Sardine

  • 作曲者

    岩下啓亮 Sardine

  • プロデューサー

    岩下啓亮 Sardine

  • 共同プロデューサー

    岩下智美

  • レコーディングエンジニア

    岩下啓亮 Sardine

  • ミキシングエンジニア

    岩下啓亮 Sardine

  • グラフィックデザイン

    岩下啓亮 Sardine

  • ギター

    岩下啓亮 Sardine

  • ベースギター

    岩下啓亮 Sardine

  • シンセサイザー

    岩下啓亮 Sardine

  • ボーカル

    岩下啓亮 Sardine

  • ピアノ

    岩下啓亮 Sardine

  • ハーモニカ

    岩下啓亮 Sardine

離してはいけないのジャケット写真

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    Z橋で待つ

    岩下啓亮 Sardine

  • 2

    さかさまの世界

    岩下啓亮 Sardine

  • 3

    雑踏で

    岩下啓亮 Sardine

  • 4

    運命のままに

    岩下啓亮 Sardine

  • 5

    忙しいひと

    岩下啓亮 Sardine

  • 6

    夜の煙草

    岩下啓亮 Sardine

  • 7

    抱擁

    岩下啓亮 Sardine

『離してはいけない』は1996年9月1日に発表した、岩下啓亮の唯一の自主制作盤(CD)である。4月から制作をはじめ、約3ヶ月かかって完成した。作詞・作曲・編曲・演奏・歌・録音・編集・表紙イラストすべては岩下自身による。パートナーが録音の最中に適宜アドヴァイスしてくれたので「道案内」とクレジットを記した。当時はパソコン等を持っていなかったので、マスタリングと印刷は代々木のコジマ録音に頼んだ。500枚・ダンボール5箱を発注した。2000円の価格をつけたが、純粋に「売れた」のはせいぜい200枚程度。あとは方々に配りまくった(まだ押入れに100枚ほど残っている)。
以下、『ミュージックマガジン1997年1月号』の「自主制作盤」に掲載された(266~267ページ)、行川和彦氏の寸評を引用します。
<『離してはいけない』は、ピアノの弾き語り主体の7曲入りCD。エルトン・ジョン、トッド・ラングレン、ピート・タウンゼンドらの静かな曲に通じるなめらかな流れ、にじみ出るポップセンス、切なくなる歌声と旋律など、心に残るものがある。>

アーティスト情報

  • 岩下啓亮 Sardine

    鰯こと岩下啓亮 Sardineです。 1983年から2003年までの20年間で、ひとり多重録音した楽曲が約200曲あります。これらを8枚のアルバムにまとめて2024年に順次アルバムをリリースしました。2025年はアンソロジーの代わりに、年代順に編集したアルバムを発表します。 その音楽は、多種多様です。親しみやすいポップスもあれば、社会的視点をそなえたメッセージソングもあります。プログレッシブな構築性もあれば、パンク的な破壊志向の側面もあります。手ごわいピアニストで、マッドなシンセサイザー弾きで、たどたどしいギタリストで、音の読めるベーシストで、緩いリズムのパーカッショニストで、ひとり多重コーラスを駆使する、不器用なシンガーソングライターです。それらすべてのパートが、一つの人格に統合されているのです。 ロマンチックと薄情と情熱の混淆、とりとめもない不安と届かぬものへの憧憬を描いた、オールディーズだけどもエヴァーグリーン。表情豊かな鰯の音楽を、ぜひお聞きください。

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