

ねえ心臓
あなたはずっと
ひとりで鳴って
今日まで来たのね
眠った夜も
泣いた朝も
恋に壊れた
午後のあとも
胸のいちばん
暗いところで
赤く正しく
働いていた
骨の檻に
閉じ込められて
文句ひとつも
言わないままで
脈を打つたび
わたしの内側
まだ生きていると
言い張るみたい
何回打てば
止まるのだろう
そんな数字を
知ってしまった
気が遠くなる
ほどの回数
あなたは黙って
越えてきたのね
ならその数の
ほんのひと欠けら
わたしもこの脚で
返してみたい
心臓
一度も休まない
あなたが今日も鳴るのなら
わたしも痛みのほうへ歩ける
心臓
傷んでも動く
腫れた身体も 重い息も
あなたに合わせて 前へ進める
上がらない腕
鈍い膝裏
汗で湿った
午後のリハビリ
たかが一歩が
ずいぶん遠い
それでも一歩は
妙に切実
きれいごとでは
済まないでしょう
惨めな顔も
ちゃんとあるのよ
泣きたくなって
投げたくなって
それでも胸だけ
先に鳴ってる
筋を伸ばせば
熱が走って
骨のまわりで
春みたいに痛い
この痛みさえ
止まってないと
生きてることの
証みたいだ
何億回かの
途中でしょう
ならまだ今日も
終わりじゃないでしょう
心臓
一度も休まない
あなたがこんなに誠実なら
わたしは言い訳を脱ぎ捨てたい
心臓
裂けても動く
震える身体も 遅い脚も
あなたの拍子で もう一度行ける
胸の奥では
赤い獣が
静かにずっと
暴れている
生きろとだけ
繰り返して
美しくなくても
進めと命じる
止まるその日を
知っているから
一歩の重みが
やけに艶めく
痛みを抱いて
立てることこそ
今日のわたしの
いちばんの反抗
心臓
一度も休まない
あなたを思えば思うほど
今日を粗末にできなくなる
心臓
尊敬してるよ
何回動いて止まるのなら
その回数ぶん 挑んでいたい
心臓
傷んでも進む
肉のわたしを 抱いたままで
あなたの鼓動に 答えてみせる
ねえ心臓
あなたはずっと
ひとりで鳴って
今日まで来たのね
だから今日は
あと少しだけ
わたしもわたしを
動かしてみる
- 作詞者
鮫島宏明
- 作曲者
鮫島宏明
- プロデューサー
鮫島宏明
- 共同プロデューサー
鮫島宏明
- マスタリングエンジニア
鮫島宏明
- シンセサイザー
yadorigi

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心臓の種
yadorigi
E
『心臓の種』 は、休むことなく鳴り続ける心臓への敬意と、その鼓動に少しでも応えようとする意志を描いた楽曲です。
眠った夜も、泣いた朝も、壊れそうな午後のあとも、
胸のいちばん暗いところで、心臓は文句ひとつ言わず働き続けていた。
この曲は、そんな当たり前すぎて見落としてしまう“生の中心”を見つめ直し、
その誠実さに対して、自分もまた一歩を返したいと願う歌です。
リハビリのように遠い一歩。
鈍い痛み。重い息。惨めさや弱さ。
それでも胸だけは先に鳴っていて、「まだ終わりじゃない」と言い続けてくる。
『心臓の種』 は、美しく整った強さではなく、
痛みを抱えたまま立つこと、生きることそのものを“反抗”として描いた一曲です。
心臓が今日も鳴るなら、自分もまた今日を粗末にせず、前へ進みたい。
その静かで激しい決意が、この歌には息づいています。
アーティスト情報
yadorigi
yadorigi は、朝・昼・夜の感情を音にする。 アサノネは朝の再起動。 ヒルノネは昼の思考整理。 ヨルノネは夜の祈りと共感。 和の響きと現代の言葉で、 孤独、揺れ、思考、余韻、希望を描いています。 朝が重い日、 考えすぎる昼、 眠れない夜に。 あなたの今に合う音を...
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