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Scizor a.k.a. えんたいの2nd EP「PLUS」は、昨年12月にリリースされたアルバムの続編的な位置付けを持ちながらも、本作単体でも強い存在感を放つ作品となっている。リリース前に発表されたSingleとも通ずる要素を持ち、これまでの楽曲の魅力を際立たせつつ、新たな一面も提示する内容となった。客演にはLueurとZAqROが参加している。
収録曲のひとつでは、昨年突然連絡が取れなくなった制作相手のSoundCloudに公開されている楽曲を、自身なりの解釈とメッセージを込めて歌い直している。HOOK、Verseともに原曲を土台にしながら、その世界観を崩さないよう相手へのメッセージやScizor a.k.a. えんたいならではのフロー、さらにかつて共に制作していた楽曲タイトルの要素を歌詞に織り込んだ。原曲と聴き比べることで、本作に込められた想いや言葉がより際立つ構成となっており、いつか再び共に制作できることを願う気持ちが込められている。
また、Lueurを客演に迎えた楽曲では、普段Hyperpopを中心に制作している2人がHyperflipに挑戦。自分の実力で“美味いもの(=良い結果)”を掴み取るというテーマのもと、やりたいことを我慢するのではなく、自ら行動して望む未来を手に入れようとする姿勢を、アグレッシブなサウンドの上で表現している。スピード感あふれるトラックと心地よいラップ、メロディが重なり、思わず何度もリピートしたくなる仕上がりとなった。
ZAqROを迎えた楽曲では、基盤を固めていくことをゲーム用語の「レベリング」に重ねて表現。エモーショナルなGarageやJersey Clubの要素を取り入れたトラックの上で、次々と展開されるフローが楽曲を彩り、最後まで耳を離さないクオリティに仕上がっている。
さらに、本作には“hood star”というテーマを掘り下げた楽曲も収録されている。それぞれの地元には、その土地に合った“hood star”の形がある。本楽曲ではScizor a.k.a. えんたいの地元である秋田県横手市に目を向け、小学校や中学校で「どうしたら人口が増えるか」「地域の魅力を伝えて観光客を呼ぶにはどうすればよいか」といったテーマが毎年のように授業で扱われている現状に触れている。そうした状況を自身の音楽や活動を通して少しでも変えていく存在こそが“hood star”なのではないか——。地元が抱える課題や、自ら命を絶つ人が多いという現状が少しでも変わることを願う思いが込められている。
過去の作品とのつながりを感じさせながらも、新たな挑戦と表現が詰め込まれた本作「PLUS」は、Scizor a.k.a. えんたいの現在地を示すEPとなった。今年の動きから目が離せないアーティストのひとりであることを強く印象付ける作品といえるだろう。
秋田出身、東京拠点のアーティスト。最終目標に“漫画原作者兼ラッパー”を掲げ、独自の表現スタイルを模索し続けている。 「好き」を真っ直ぐに歌詞へ落とし込み、具体的な情景描写と内省的な視点でリスナーの心に刺さる言葉を紡ぐ。 ジャンルやスタイルに囚われず、様々なサウンドの上で自由自在に表現を展開。楽曲ごとに異なる世界観を構築しながらも、一貫した芯を感じさせる。 2024年より東京に拠点を移し本格的にリリースを開始。2025年も勢いそのままに、継続的な楽曲発表とライブ活動で存在感を高めている。