

朝6時豆を挽く音で
君が起きないように静かに
「君のため」って顔してるけど
本当は自分が飲みたいだけ
洗濯物を畳みながら
「愛してる」の形を作る
でも綺麗に整った引き出しは
僕の強迫観念の産物
君の好きな朝食を作るのは
君の笑顔が見たいから?
いや違う
笑顔を見てる自分が
好きなだけかもしれない
愛してるから
やってるんじゃない
やりたいから
愛してる
この順番を認めたら
もっと素直になれるのに
君のためは
僕のため
僕のためは
君のため
どっちが先かなんて
もう分からなくていい
君が風邪をひいた夜
看病する僕は優しい?
体温計を差し出す手は
ヒーローになりたい欲望
記念日を覚えてるのは
愛の深さの証明じゃない
忘れた時の面倒を
避けたいだけの計算
でも君が「ありがとう」って言う時
僕の嘘は本当になる
偽物の優しさでも
君を温められるなら
それでいいじゃないか
愛なんて全部そんなもの
愛してるから
やってるんじゃない
やりたいから
愛してる
でもその嘘が続けば
いつか真実に化けるかも
君のためは
僕のため
僕のためが
君のため
境界線なんて初めから
なかったのかもしれない
明日の朝も
コーヒーを淹れる
君のためという名の
僕のために
- 作詞者
nought
- 作曲者
nought
- プロデューサー
nought
- ギター
nought
- ベースギター
nought
- キーボード
nought
- ボーカル
kuu
- ソングライター
nought

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僕の珈琲
零壱ノ間
朝6時、豆を挽く音から始まる日常の風景。そこには「君のため」という顔をした、本音の欲望が滲んでいる。
「愛してるから、やってるんじゃない。やりたいから、愛してる」
この一節が示すのは、献身という名の自己満足。利他という形をした利己。しかし、その矛盾を認めた瞬間、偽物の優しさは本物の温もりへと変わっていく。
畳まれた洗濯物も、覚えた記念日も、風邪をひいた夜の看病も——すべては「僕のため」かもしれない。けれど、その嘘が続けば、いつか真実に化ける。君のためと僕のため、その境界線は初めから存在しなかったのかもしれない。偽善より正直な自己愛を、朝のコーヒーの香りに包んで歌い上げる。明日の朝も、僕は君にコーヒーを淹れる。
「君のため」という名の、僕のために。



