

朝の光が
カーテンの隙間から
まだ暑さの残る初期値を
部屋に投げ込んだ
昨日と同じようで
波長が少し違う
その差がどこへ導くか
誰も知らない
コーヒーが冷めていく
エントロピーの法則
舌が覚えてる
蝉の鳴かない朝の温度
宇宙の崩壊へ向かうその途中で
僕は秩序という名の朝食を作る
決まってるような
決まってないような
その境界で揺れている
運命は開集合
壁のない部屋
出口も入口も
どこにでもある
閉じ込められてるようで
実は自由で
その矛盾が僕らの形
すべて必然
でも偶然
両方本当
両方嘘
そんな場所で息をしてる
君が降りた駅で
僕は乗ったまま
平行世界が
ホームで分岐した
観測するまで
重なってた未来
選ばなかった君も
どこかで笑ってる
日焼けした便箋に
書き続けている
まだ一通もポストに
入れてない手紙
でもその重さが
何かを変えてる
見えない波紋が
世界に広がる
小さな選択が
大きな分岐になる
揺らぎの始まり
運命は開集合
完成しない絵
描き足す余白が
いつもある
決められた画布の上で
自由に踊る
その矛盾が生きる意味
「運命って言葉、信じる?」
風鈴の音が遠い日
君が聞いた質問
答えられなかった僕は
今も答えを探してる
十の二十三乗の粒子でできた僕が
なぜ君の名前だけ質量を持つのか
物理法則だけでは
説明できない何かが
確かにここで脈打つ
もしも
もしも
すべてやり直せても
きっと君に会いたくなる
それは決定論?
それとも自由意志?
答えなんていらない
問い続けることが答えだから
運命は開集合
終わらない物語
最後の句読点を打たないまま
君と僕の間に意味を探す
その矛盾を抱きしめる
開いてて
閉じてる
決まってて
自由
そんな不思議な場所で
今日も明日を選んでく
開いたままの扉
君の影がまだ残ってる
入るも出るも僕次第
開集合の中で
呼吸する
- 作詞者
nought
- 作曲者
nought
- プロデューサー
nought
- ギター
nought
- ドラム
nought
- ボーカル
kuu
- ピアノ
nought
- ソングライター
nought
- プログラミング
nought

零壱ノ間 の“開集合”を
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開集合
零壱ノ間
「開集合」とは、数学における境界を含まない集合のことです。つまり、どこからどこまでかハッキリしない、曖昧な領域。
新曲「開集合」は、その数学的な概念を「運命と自由意志」の話に置き換えた一曲。全部決まってるのか、自分で選べるのか。その答えのない問いを、朝のコーヒーが冷めていく部屋や、乗らなかった電車のホームといった、何気ない日常の風景に重ねて歌っています。
"運命は開集合 / 壁のない部屋 / 出口も入口もどこにでもある"
境界線が曖昧だからこそ、私たちは自由だ。決定されているからこそ、選択が意味を持つ。その矛盾を抱きしめることが、生きるということ。



