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「世界が息を呑むほどの速度で消費されていく閉塞感のなか、イヤホンを耳の奥まで押し込み、爆音のノイズで自らを世界の中心へと引き上げる3分間の電子聖域」――。轟音のシューゲイザー(Ethereal shoegaze)と、高速で流麗なリキッド・ドラムンベース(Liquid drum and bass)が美しくも凶暴に融合した、圧倒的な多幸感と切なさが背中合わせになったハイパー・ハイテンポ(174 BPM)のシネマティック・エモーショナル・アンセムです。楽曲を爆発的な推進力で牽引するのは、完璧なグリッドを嘲笑うように細切れにされた「超高速の変則フランク・ブレイクビーツ(frantic breakbeat)」と、心臓の奥底を執拗に揺さぶる超低域のディープ・サブベース(deep sub bass)。そこへ、左右のステレオ幅いっぱいにレイヤーされた、美しくどこまでも豊かに広がるディストーションギターの分厚い壁(massive wall of sound)が合流し、聴き手の空間認識を完全に麻痺させます。
最大の特徴は、EDMにありがちな安易なビルドアップや、お仕着せのハッピー・ハードコア構造を徹底的に拒絶した、剥き出しの「生の感情(raw emotion)」。ボーカルはひらがなのみの美しい詞の世界を、マイクの振動板に唇が触れる至近距離で捉えられた、ピッチ補正なしの天使のようなハスキー女性リード(angelic female vocal)。サビ(コーラス)に突入した瞬間、ステレオ幅が140%のパノラマへと全開放され、ノイズの海の中で絶叫するかのようなエモーショナルな旋律が、美しきメランコリアを爆発させます。中盤のブリッジでは、何の前触れもなくすべての高速ビートが完全消滅する無警告の引き算(Sudden weightless silence)を敢行。深いリバーブを纏った1音のギターコードと、消え入りそうな肉声の「……おわらないで」という独白を経て、ラストフックでは音圧が限界(-7 {LUFS})までパンピングした最大級の轟音へと雪崩れ込みます。最後はスタジオの自動フェードアウトに頼らず、フィードバック・ノイズ(guitar feedback)の不穏な残響だけを空間に残してプツンと遮断される、電脳世界の甘美な悪夢を体現した傑作トラックです。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。