朱肉のシグネチャのジャケット写真

歌詞

朱肉のシグネチャ

Akemi

朱い肉池に 印鑑を伏せて

神泉の窓に 三時の陽が射す

あなたの印が もう先に乾く

私の欄だけ 白を残している

円を取る指 朱の付きを見る

押せばこの名を 置いてゆくこと

まだ手放せない この名前を

重さだけ量って 手を浮かす

朱肉に印面 朱を含ませ

白い欄の上 持つ手が止まる

押せば変わる名 戻れなくなる

それでも指は 離れずにいる

朱を拭って 印鑑を置く

婚姻届を そっと伏せて

引き寄せる紙は 部屋の申込み

同じ住所に 二人で書く

大和の信金 窓口の朱

覗いた幼い日 手を止める間

急かされても 名を確かめる癖

その間合いが 今も指にある

新たな紙へ 自分の名を

まっすぐ下ろし 息をつめて

変えない名前で ここに住む印

拭えない朱が 二つ並ぶ

白いままの欄に 陽が翳るころ

「これでいい」とは 声に出さずに

同じ住所に 別の名を残し

言う代わりに 隣の椅子を引く

  • 作詞者

    Akemi

  • 作曲者

    Akemi

  • プロデューサー

    nanayon music

  • ミキシングエンジニア

    nanayon music

  • ボーカル

    Akemi

朱肉のシグネチャのジャケット写真

Akemi の“朱肉のシグネチャ”を

音楽配信サービスで聴く

ストリーミング / ダウンロード

  • ⚫︎

    朱肉のシグネチャ

    Akemi

「朱肉のシグネチャ」は、彼が先に判を捺した婚姻届に押さず、籍を入れる代わりに別々の名字で同じ住所に並ぶ形を選び直す日曜の午後を描いたミディアムテンポのシティポップ。
神泉のアパートの机、三時の鈍い陽、蓋を開けた朱肉の小箱、白いまま残された記入欄、そして引き寄せる部屋の入居申込書――声に出さない意思が、押す手の止まり方と押す紙の選び方に静かに立ち上がっていく。

架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、改姓して籍に入るのを待たれながらも、確定の道具である印鑑を婚姻の確定には使わず、自分の名のまま隣に居る暮らしを選ぶ大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやシティポップが持っていた、休日の部屋の空気、書類と印鑑の手触り、言葉にしない決断を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。

婚姻届の白い欄では止めた手で、部屋の申込書には自分の名のまま朱を下ろし、拭えない朱を二つ並べる。
「これでいい」とは声に出さず、同じ住所に別の名を残して彼の隣の椅子を引く――そんな成熟した意思表示を描いた楽曲。
Produced by nanayon music.

アーティスト情報

nanayon music

"