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夕灯

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Cigamacla「夕灯(ユウヒ)」

——“過去を抱きしめる勇気”が灯す、オルタナティブな青春譜

22歳の誕生日を経て、Cigamaclaが新たに発表した一曲「夕灯(ユウヒ)」。
この作品は、彼がこれまで築いてきたサウンドの核心——“記憶と時間”の詩学を、よりパーソナルに、そしてより成熟した形で結晶化させたものだ。

およそ1年前にはすでにトラックの骨格ができていたという本作。
リリースのタイミングをあえて遅らせたのは、Cigamacla自身がその記憶と向き合う準備をしていたからだという。
「未練や後悔ではなく、思い出として愛せるようになった」とCigamaclaは語る。
その言葉の通り、この曲は過去を引きずるためのものではなく、過去を赦すための音楽として響く。

トラックはラテンの風を思わせる軽快なリズムと、
808の深い鳴りを軸にしたCigamaclaらしいオルタナティブ・ヒップホップ。
Bad BunnyやThe 1975「TOOTIMETOOTIMETOOTIME」などから影響を受けたというが、
南国的な陽気さではなく、どこか翳りを帯びた“黄昏のグルーヴ”に仕上げている点が特徴的だ。
その温度差の中で、夕陽の光と街灯の灯が交錯する時間——「ユウヒ」という象徴が音として形を持つ。

歌詞では、高校時代の風景が淡い記憶のように立ち上がる。
朝日が差し込む教室、席替えで近づいた好きな人、雨の日に同じバスに乗る小さな幸せ。
どれも特別ではないが、確かに自分を形作った断片たち。
「気づけばもう夕方だった」という時間感覚が、この曲全体を支配している。
それは、過去を懐かしむだけでなく、“いま”という瞬間をどう生きるかを問いかける視点でもある。

「夕灯」というタイトルには、
夕陽と街灯が街を包みはじめる時間帯の光景が込められている。
自然の光が消えていくその瞬間、人工の光がそれを引き継ぐ。
——まるで“思い出”が“生きる力”へと受け渡されるように。
Cigamaclaにとってこの曲は、自分の青春を閉じるためのものではなく、その記憶の中に残る“光”を再び灯すための作品だ。

Cigamaclaはこれまでも「春歌」や「永遠の光」など、
“青春の記憶”や“愛の残響”を描いてきたアーティストだ。
その中で「夕灯」は、より私的でありながら普遍的なテーマに到達している。
それは、過去を悔やむことではなく、
過去の自分を抱きしめ、「あれも自分らしかった」と肯定する姿勢だ。

“卒業アルバムをめくるように聴いてほしい”——
彼がそう語るように、この曲は一人ひとりの心にある「青春のページ」をそっと開かせる。

アーティスト情報

Cotton Lights Music