

8月22日
目覚めたら
まだ人間だった
鏡の中
寝癖だけが主張して
天才の才能も
ないらしい
賞味期限切れの牛乳に
「お前もか」って話しかけた
先週の夏が
冷蔵庫で腐ってた
アイツは虫になれたのに
27年
何にもなれない
セミにもなれない
僕の皮は
まだ 剥がれない
変身できなかった朝に
カンパイ
平凡という病気は
治らない
親愛なるフランツへ
書き出してみる
出さない手紙、机の上
これは進化ですか?
退化ですか?
それとも単なる
怠慢ですか?
アイツは消えたのに
27年
消えることもできない
クラブにも入れない
僕の名は
誰も知らない
変身できなかった朝に
カンパイ
笑える悲劇は
終わらない
虫になった方が楽かもね
社会保障も受けられそうで
でも生きてる
それだけで罪
カフカさん
これも文学ですか?
アイツは虫になれたのに
27年
何にもなれない
セミにもなれない
僕の皮は
まだ剥がれない
変身できなかった朝に
カンパイ
もう笑うしかない
この喜劇
獅子座から乙女座へ
処方箋は音楽
副作用は孤独
P.S. フランツ
返事はいらない
僕はまだ
僕のまま
- 作詞者
nought
- 作曲者
nought
- プロデューサー
nought
- ギター
nought
- ドラム
nought
- キーボード
nought
- ボーカル
kuu
- ソングライター
nought
- プログラミング
nought

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8月22日
零壱ノ間
変身できなかった朝に、乾杯。フランツ・カフカの『変身』から100年余り。グレゴール・ザムザが虫になった朝、僕らはまだ人間のままでいる。27歳、ロックスターが伝説になる年齢を迎えても、平凡という病から抜け出せない日常への、静かな著者noughtの反逆歌。
「8月22日」は、著者noughtの27歳の誕生日の変身の物語を逆説的に描く。蝉が7年の準備を経て空へ羽ばたく夏の終わり、賞味期限切れの牛乳と対話し、出さない手紙をカフカに綴る主人公。獅子座から乙女座への境界線上で、「変身しないという変身」を選ぶ。
処方箋は音楽、副作用は孤独。
もう笑うしかない、この喜劇を。



