

三茶の事務所 金曜の夜
ロンドン宛ての テレックスを打つ
「お先に」の背中 廊下に消えた
空いたデスクに 受信紙が積もる
大和で覚えた 黙る速さ
紙に打ち込めば 声を使わずに届く
一枚ずつ辿る あの人の指
私の一語に 触れてゆく
社内の番号 指が選ぶ
白いテープに 穴が開いてゆく
ロンドンじゃない 宛先を打つ
ガタガタと 指の速度が変わる
隣のデスクへ テレックスで届ける
声なら三歩の先 穴を選んだ
「STAY」のキーに触れて 指を止める
一行だけ打ち直す 「COFFEE?」
掌で握る 紙テープの束
穴の縁が 指に食い込む
声なら朝には 消えてくれた
それでも穴を選んだ この指
送信ボタンを押す ベルが一度鳴る
紙テープが垂れて 回線(ライン)が止まる
「COFFEE?」一行 月曜を待つ
椅子にもたれる この指を開く
灯りを落として 三茶の夜道
指先にまだ残る キーの硬さ
「STAY」は穴にしなかった
金曜の一行 月曜の朝
- 作詞者
Akemi
- 作曲者
Akemi
- プロデューサー
nanayon music
- ミキシングエンジニア
nanayon music
- ボーカル
Akemi

Akemi の“穿孔のテレグラム”を
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穿孔のテレグラム
Akemi
「穿孔のテレグラム」は、金曜夜の貿易事務所でテレックスのキーに指を置き、声に出せない一語を「穴」として物質化するかどうかを自分で決めていく、告白と踏み止まりのあいだを描いたミディアムテンポのシティポップ。
三茶の無人のフロア、隣の空いたデスクに積もる受信紙、白い紙テープに開いていく穿孔、ロンドン宛て送信完了のベル、そして社内番号に切り替わる指先――声の届く距離なのに声を使わない選択が、自分でどこまで踏み込みどこで止まるかを決めていく夜の心象風景を立ち上がらせる。
架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、業務テレックスの正確な英文を打ってきた指が、業務以外の一語の前で震え、「STAY」のキーに触れて止まり、代わりに「COFFEE?」だけを穿孔する大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやシティポップが持っていた、夜のオフィス、機械音、声にしない言葉のやり取りを描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。
掌の中で紙テープの束を握り、穴の縁のバリが指に食い込んでも、Akemiは「STAY」を穴にはしない。
踏み込む一行と置いていく一語を自分の指で決めながら、月曜朝の受信紙の中に「COFFEE?」だけを残して三茶の夜道に出る――そんな自分の境界線を自分で引く意志を描いた楽曲。
Produced by nanayon music.
アーティスト情報
Akemi
1970年代後半〜80年代前半の「シティポップ/ニューミュージック」が持つ哀愁と夜の空気感を、生成AIと編集で“作品として”再構築する音楽プロジェクト。 Akemi(アケミ)は、神奈川県大和市出身という設定で生まれた架空のAIシンガー。都会の孤独、大人の恋、夜の感情を、ノワール調のシティポップとして歌う。 作詞・作曲・歌唱・ビジュアルは生成AIを制作ツールとして用いながら制作し、「AIの中にある人間味と懐かしさ」をテーマに探求している。
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nanayon music



