荷ほどきのフィナーレのジャケット写真

歌詞

荷ほどきのフィナーレ

Akemi

四度目の部屋の 荷造りの夜

畳に並ぶ 茶色の箱

一つだけある テープの黄ばみ

側面に「だいじ」と 昔の私

十八の春 詰めたきりの箱

三つの部屋を 未開封で越え

開けたら帰り たくなる気がして

押入れの奥 定位置にした

運べば四度目 亡霊の引っ越し

開ければ会う 十八の私

明後日のトラック 荷台は狭い

箱の前に 膝を揃える

鋏の先で 紐を切る音

八年ぶんの 埃が立って

文集 リボン 片道の切符

畳に広がる 十八の荷

ほとんどは紙の 束にして出す

それでいいのと 昔の私に

一本だけ残す 実家の鍵を

帰らない鍵を それでも持ってく

軽くなった箱 底から畳んで

新しい束に 古い鍵を足す

音がひとつ 増えた鍵束を

明後日の鞄の ポケットに置く

空になった箱 畳の匂い

「だいじ」の文字に テープを重ね

資源の紐で 十字に縛る

身軽な春の 荷がひとつ減る

  • 作詞者

    Akemi

  • 作曲者

    Akemi

  • プロデューサー

    nanayon music

  • ミキシングエンジニア

    nanayon music

  • ボーカル

    Akemi

荷ほどきのフィナーレのジャケット写真

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    荷ほどきのフィナーレ

    Akemi

「荷ほどきのフィナーレ」は、上京の日から未開封のまま運び続けてきた荷箱に、四度目の引っ越しの前夜、ついに鋏を入れる再生の情景を描いたミディアムテンポのシティポップ。
畳に並ぶ茶色の箱、黄ばんだガムテープ、側面に残る「だいじ」の文字、荷造り紐を切る鋏の音、そして一本だけ残す実家の鍵――過去を封じたまま運ぶ暮らしの終わりが、身軽な春の始まりを静かに浮かび上がらせる。

架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、開けたら帰りたくなる気がして封じてきた過去とようやく向き合い、帰らない鍵一本ぶんの距離で故郷と付き合い直すことを選ぶ大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやシティポップが持っていた、引っ越しの夜、畳の部屋の空気、旅立ちの荷物を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。

十八歳の自分が詰めた荷をほどき、ほとんどを手放して、実家の鍵だけを新しい鍵束に通す。
帰らない鍵をそれでも持っていく――そんな過去との距離の結び直しを描いた楽曲。
Produced by nanayon music.

アーティスト情報

nanayon music

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