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雨粒はいつも劣等感にとらわれていた。
その理由は、遠くに広がる果てしない海の存在だった。
同じ水でできているのに、海は広く青く、人々は喜んでその胸に飛び込んでいく。
一方、雨はただ湿っぽく灰色で、人々は傘を差して避けるばかりだった。
「私は確かに海と同じはずなのに…私も海になりたい。」
雨粒はそうつぶやいた。
ある日、黒雲が晴れた瞬間、彼は勇気を出して海へと身を投げた。
自分を捨て、果てしない水平線へ――
夢見た海になるために。
目の前には広く青い世界が広がっていた。
そこには小さな小屋が寄り添うように並ぶ、海辺の村もあった。
そしてついに身体が海に触れると、少女のワンピースの色が変わり始めた。
黒は散るように消え、白が波のように広がっていった。
まるで少女を祝福するかのように、海が彼女を包み込んだ。
彼女はもはや雨ではなかった。
自らを嫌悪する存在を捨て、ついに海となったのだ。
その瞬間、少女の前にひとりの少年が立っていた。
都会からやってきた子だった。
彼の髪は本来は金色だったが、周囲に溶け込むために黒く染めた。
しかし時が経つにつれ金色がのぞき始め、その理由ひとつだけで彼はいじめられた。
人間関係に幻滅した少年は街を離れ、海辺の村の祖母の家にやってきた。
そして縁側に寝転び空を仰いでいると、遠くから落ちてくる一滴の水を見た。
純粋で透明に輝くその雨粒に、彼は恋をした。
叶わぬ恋と知りながらも、少年は道端の青いアジサイを折り取り、海へと駆けだした。
そこには、波打ち際に足を浸し、歓喜に満ちた顔で立つ少女がいた。
少年はためらいながらも、手にした花を差し出した。
陽に照らされた擦りむいた膝、赤く染まった頬――
そのすべての恥じらいを隠したまま。
少女は涙を浮かべて花を受け取り、
そして世界で一番明るい笑顔を見せた。
ふたりの愛は不可能に思えた。
それでも、少年は愛を差し出し、
それでも、少女は自らを捨て、夢見た海になった。
それぞれの傷と劣等感を抱えながらも、ふたりは自分だけの光を探そうとしていた。
この物語は、もしかすると自分自身へ向けた言葉なのかもしれない。
人々に違うと笑われても、
私は劣等感の中で棘を立てても――
それでも、私は自分の道を歩かなければならない。
どんなに暗い過去を背負っていても、
いつかはもっと遠くへ旅立たなければならない。
そして青い海には、ついにこう刻まれるだろう。
「それでもなお。」
音楽で結ばれた、地球の反対側のJ-POPデュオ redraw(リドロー)は、音楽で結ばれた地球の反対側の二人組。 プロデューサーのdroとボーカルのRuiによるデュオで、物理的な距離や時差を越えて感情を共有する、 新しい形のグローバル・ミュージックプロジェクトとして注目を集めている。 2024年2月、SNS(X)を通じて出会った二人は、異なる国、異なる言語、異なる環境の中でも、 音楽というたった一つの共通点で深く繋がった。 droはアメリカの大学寮でトラックを制作し、Ruiは日本の小さなクローゼットで歌を録音する。 その距離を隔てた制作環境から生まれるサウンドは、まさに“距離を越えた世代の音”を象徴している。 すべての楽曲はDTMを用い、自宅で制作される。 これは単なるホームレコーディングではなく、デジタルネイティブ世代の自由な創作精神を象徴している。 13時間の時差を超え、Discordでアイデアを共有し、編曲し、磨き上げていく。 このリモート制作の構造は、現実的な制約よりも感情の繋がりを大切にするredrawの哲学そのものだ。 音楽的クオリティもまた、彼らの最大の武器である。 Wave Yoo(IU、BLACKPINK Jennie)、Ariel Chobaz(Lil Wayne、Nicki Minaj)、 Adachi Yoshinori(Mrs. GREEN APPLE)といった名エンジニアがミキシングに参加。 さらに、Idania Valencia(Charlie XCX『brat』/グラミー受賞)、Chris Gehringer(Dua Lipa、Lady Gaga)がマスタリングを担当。 インディーシーンでは稀に見る世界水準のサウンドを実現している。 外部マネージメントに頼らず、プロダクション・A&R・ネットワーキングまですべてを自分たちで行う。 自立したシステムを持ち、戦略的にクリエイティブを展開しているのも特徴だ。 redrawの音楽は、単なる“曲”ではない。 dro自身が執筆した小説やエッセイをもとに作られた物語的な作品であり、 各曲が独自のテーマとメッセージを持つ。 中でもシリーズプロジェクト「Midnight Therapy」は7〜8曲が連なり、一つのストーリーとして展開される。 音楽、映像、物語が有機的に結びつくこの構成は、redrawを“アーティスト”ではなく、 “物語を創るチーム”として際立たせている。 2024年7月、デビューシングル「Mint for Two(二人のミント)」をリリース。 iTunes J-POPチャートで複数の国にランクインし、鮮烈な印象を残した。 その後も約1年で8曲のシングルをリリースし、各曲ごとに異なる世界観を描きながらも、 一貫した美学と完成度を保っている。 そして2025年後半には、オンラインでの活動からさらに踏み出し、 スタジオライブ映像やリアルなパフォーマンスコンテンツの展開を予定している。 リモートバンドとして培った独自性を持ちながら、 現実のステージで“僕たちの世代のJ-POP”を体現していく。 redrawは、距離や時差ではなく、感情と物語で繋がる音楽の力を信じている。 音楽が国境も言語も超える時代において、 彼らはその中心で、新しい形のJ-POPを描き続けている。 “空間を越えて、感情を共有するグローバルデュオ。” それがredraw。 そして、僕たちが描き続ける新しい音楽の地図だ。 redrawのメンバー:Rui & dro
droduction studio