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昨夜、私はあの子の顔をまっすぐ見ることができなかった。
指先が先に逃げ出し、唇は言葉をすべて飲み込んでしまい、
部屋にはドアが閉まる音だけが残った。
背を向けて横たわったベッドの上で、その瞬間が何度も再生される。
驚いたように私を見つめていたあの子の目、
触れそうなほど近づいてきた唇の息づかい、
そして私がそのすべてを押しのけてしまった、最後のあの一瞬まで。
恥ずかしさと後悔が入り混じった感情が、灯火のようにちらちらと揺れながら、
夜の隅々までを埋め尽くしていった。
「明日は、顔を合わせませんように。」
そう何度も唱えるように願いながら、身体を布団の奥深くまで潜り込ませても、
心だけは思うように動いてくれなかった。
けれど、朝の空気はあまりにも澄んで透明で、
ここから逃げようという決意はあっという間に崩れ去ってしまった。
フードを目深にかぶって学校へ向かいながらも、
心の中ではずっと、あの子を避けたいとつぶやいているのに、
視線だけは勝手に、彼がいそうな場所を先に探してしまう。
廊下の向こう側で、彼の目が私を見つけた瞬間、
私の心臓はどんな言い訳よりも正直な音を立てた。
ふたたび向かい合って座ったカフェでは、
昨日の気恥ずかしさが湯気のようにゆっくりと消えていき、
昨日より少しだけ近づいた距離に置かれた二つのラテのあいだを通って、
食い違っていた気持ちが、そっと透きとおりはじめていた。
「今度だけは…間違っていませんように。」
ふと、そんなふうに思った。
そんな気持ちから生まれたのが、この曲「Bed Timing」だ。
愛することをためらい、愛されることを怖がる少年少女の声とともに始まる歌。
ジャズポップのあたたかさの上にローファイの息づかいを重ね、
寝返りを打つように揺れ動く感情のきめを、そのまま音楽へと翻訳した、冬のポップソング。
ベッドの上で何度も巻き戻された後悔、
すれ違った廊下で砕けた心臓の音、
あたたかいラテの湯気に溶けていく小さな勇気まで――
この歌は、そのすべてのタイミングを一つひとつ重ね合わせながら語りかける。
たとえ昨夜は間違ってしまっていたとしても、
今日は、もう少しだけ本音に近づけるのだと。
少し寝坊した、澄んだ陽ざしが降りそそぐ朝、
二人が互いの温度を、初めてちゃんと見つめ合うその瞬間を閉じ込めたこの曲は、
結局のところ、「恋が始まる直前」という、いちばん繊細な地点をそっとすくい上げた物語だ。
逃げ出したい気持ちと、手を伸ばしてつかんでしまいたい気持ちのあいだで揺れるすべての人へ、
この曲はとても静かにささやきかける。
――愛は、タイミングではなく、勇気によってつながっていくのだと。
音楽で結ばれた、地球の反対側のJ-POPデュオ redraw(リドロー)は、音楽で結ばれた地球の反対側の二人組。 プロデューサーのdroとボーカルのRuiによるデュオで、物理的な距離や時差を越えて感情を共有する、 新しい形のグローバル・ミュージックプロジェクトとして注目を集めている。 2024年2月、SNS(X)を通じて出会った二人は、異なる国、異なる言語、異なる環境の中でも、 音楽というたった一つの共通点で深く繋がった。 droはアメリカの大学寮でトラックを制作し、Ruiは日本の小さなクローゼットで歌を録音する。 その距離を隔てた制作環境から生まれるサウンドは、まさに“距離を越えた世代の音”を象徴している。 すべての楽曲はDTMを用い、自宅で制作される。 これは単なるホームレコーディングではなく、デジタルネイティブ世代の自由な創作精神を象徴している。 13時間の時差を超え、Discordでアイデアを共有し、編曲し、磨き上げていく。 このリモート制作の構造は、現実的な制約よりも感情の繋がりを大切にするredrawの哲学そのものだ。 音楽的クオリティもまた、彼らの最大の武器である。 Wave Yoo(IU、BLACKPINK Jennie)、Ariel Chobaz(Lil Wayne、Nicki Minaj)、 Adachi Yoshinori(Mrs. GREEN APPLE)といった名エンジニアがミキシングに参加。 さらに、Idania Valencia(Charlie XCX『brat』/グラミー受賞)、Chris Gehringer(Dua Lipa、Lady Gaga)がマスタリングを担当。 インディーシーンでは稀に見る世界水準のサウンドを実現している。 外部マネージメントに頼らず、プロダクション・A&R・ネットワーキングまですべてを自分たちで行う。 自立したシステムを持ち、戦略的にクリエイティブを展開しているのも特徴だ。 redrawの音楽は、単なる“曲”ではない。 dro自身が執筆した小説やエッセイをもとに作られた物語的な作品であり、 各曲が独自のテーマとメッセージを持つ。 中でもシリーズプロジェクト「Midnight Therapy」は7〜8曲が連なり、一つのストーリーとして展開される。 音楽、映像、物語が有機的に結びつくこの構成は、redrawを“アーティスト”ではなく、 “物語を創るチーム”として際立たせている。 2024年7月、デビューシングル「Mint for Two(二人のミント)」をリリース。 iTunes J-POPチャートで複数の国にランクインし、鮮烈な印象を残した。 その後も約1年で8曲のシングルをリリースし、各曲ごとに異なる世界観を描きながらも、 一貫した美学と完成度を保っている。 そして2025年後半には、オンラインでの活動からさらに踏み出し、 スタジオライブ映像やリアルなパフォーマンスコンテンツの展開を予定している。 リモートバンドとして培った独自性を持ちながら、 現実のステージで“僕たちの世代のJ-POP”を体現していく。 redrawは、距離や時差ではなく、感情と物語で繋がる音楽の力を信じている。 音楽が国境も言語も超える時代において、 彼らはその中心で、新しい形のJ-POPを描き続けている。 “空間を越えて、感情を共有するグローバルデュオ。” それがredraw。 そして、僕たちが描き続ける新しい音楽の地図だ。 redrawのメンバー:Rui & dro
droduction studio