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静寂の中で、大地は何千年もの時間を語り続ける。
「Uluru」は、RIN & THE CONTINUUMによる世界遺産シリーズ第9作。
オーストラリアの広大な大地にそびえるウルルをテーマに、夜明け前の静寂から燃えるような夕景まで、移りゆく光と時間を壮大なモダンジャズ・ピアノトリオの組曲として描いた作品である。
楽曲は、ほとんど無音に近い空間から始まる。藤堂凛のピアノが長い沈黙の中に一音ずつ置かれ、やがてルカ・モレッティのウッドベースが大地の奥深くから響くような低音を重ねていく。さらにマリク・ジョンソンの繊細なブラシが加わり、止まっていた時間がゆっくりと動き始める。
4/4、6/8、5/4へと姿を変えながら、音楽は少しずつそのスケールを広げていく。静かな旋律は豊かなハーモニーへ、控えめなリズムは力強い鼓動へと変化し、ピアノ、ベース、ドラムの三者が長い時間をかけて巨大なひとつの流れを作り上げる。
そして夕暮れ。
赤く染まる大地と空を映すように、三人の演奏はついに最大のクライマックスへ到達する。
しかし、その壮大な響きも永遠には続かない。
音は再び少しずつ消え、最後に残るのはピアノの低い一音と、その長い残響だけ。
静寂。
光。
大地。
そして、悠久の時間。
「Uluru」は、動かない巨大な岩を描きながら、その周囲を流れ続ける時間そのものを音楽へと変えた、シリーズ最大級のスケールを持つ壮大な組曲である。
RIN & THE CONTINUUM は、日本人女性ピアニスト・藤堂凛を中心に結成されたモダンジャズ・ピアノトリオ。 圧倒的な演奏技術とシネマティックな構成力を武器に、モダンジャズ、フュージョン、ロック、現代音楽の要素を横断しながら、強烈な物語性を持つインストゥルメンタル作品を生み出している。 藤堂凛のピアノは、繊細な静寂から爆発的な超絶技巧までを自在に行き来し、複雑な変拍子や転調を感情表現へ昇華させる。 イタリア出身のベーシスト、ルカ・モレッティは、メロディックかつ流動的なプレイでトリオ全体に深い推進力を与え、アメリカ出身のドラマー、マリク・ジョンソンは、圧倒的なグルーヴとリズム構築力で楽曲の空気そのものを変化させる。 彼らの音楽は単なる技巧の誇示ではなく、 “静と動”“知性と感情”“混沌と美”を行き来する、ひとつの映画のような体験である。
SNAP