旧錦絵之紙崎由縁鏡山・眼兵衛牛王丸乎鰹掻二手赤松之齒形のジャケット写真

旧錦絵之紙崎由縁鏡山・眼兵衛牛王丸乎鰹掻二手赤松之齒形

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トラックリスト

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inspired by 容楊黛(ようようたい)『加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)』(1782)
松山米太郎校訂

実際には江戸時代中期に加賀藩で起きたお家騒動「加賀騒動」と、松平周防守邸の奥御殿で起きた「局による中老へのいじめと下女の仇討ち事件(草履打事件)」を題材としており、幕府の検閲を避けるために室町時代に仮託して描かれています。1782年(天明2年)に容楊黛(ようようたい)の作で初演されました。

名剣の正体と、赤松の御曹司「三郎」への追及
眼兵衛が使った刀が「午王丸」であると明かし、主膳が眼兵衛の正体を完全に看破して白状を迫る、息詰まる詰問の全文です。

紙崎主膳
「姉が夫の名苗字を聞くに、我推量少しも違はず、詮議の種の姉が身の上、様子は追つて申し聞かさん。先づ何を差置きて不思議なるは此刀、眼兵衛、コリャ以前より其方の所持なるか」
(※眼兵衛が「身の丈に合わない鰹掻き(小刀)だ」と誤魔化した後)

紙崎主膳
「イャサ尋常ならぬ名作の剣、鞘を振上ぐれば、最前死霊が消えしは、正しく武將の家の重寶午王丸の名剣、先年赤松滿祐此の太刀を奪ひ取り、謀反成らずして亡び失せ、其後行方知れざる名剣、是を所持する其方は、満祐が餘類と見た目は違はじ。」


紙崎主膳(続き)
「名劍只今手に入ると云ひ、謀反人赤松滿祐が嫡男、赤松三郎といふ者、大将軍に仇をはさむよし、何國に在るとも行方知れず、此行衛を知つたる者は、其方ならで外になし。サァ眞直に白狀せよ、陳ぜざるに於ては、骨をひしいで白狀さす、サァノ何と」

ここで初めて、行方不明となっている赤松家の正当な後継者「赤松三郎」の存在が語られます。眼兵衛(嘉嶋權平)ら残党は、この三郎を立てて足利家に復讐しようと企んでいたことがわかります。

【地の文(語り)】
「南無三寶時移ると、母は一腰さし心得、「サァ今切るぞ」と覺悟のお來、「ナウ姉様殺させぬ」と、覆ひに成ればじき人とも、知らぬ母親、「コレ犬事の妹、怪我しやんな」と振上ぐる、」

「「ヤレ待て女房」と眼兵衛が、妻が手を取り引退くる。「イャ放してく、切らねばならぬ譯」「切らしはせじ」と妹思ふ、冥途の魂魄道芝が、「今は是まで南無阿彌陀」と、女房が刀引つたくり、すばと切つたる刃の下、形は消えて佛壇の、前に残るは首ばかり。」

母親が引ったくって振り下ろした刀(=紙崎主膳から褒美として渡された赤松満祐の因縁の剣「午王丸」)の霊力によって、道芝の亡霊がフッと掻き消え、そこに首だけが残るというオカルト的かつ劇的な瞬間です。

紙崎主膳の種明かし(すべては罠だった)
混乱する眼兵衛夫婦の前に、様子を隠れて窺っていた紙崎主膳が姿を現し、身売りも身代わりも、すべては眼兵衛の正体(赤松の残党)を暴くために自分が仕組んだ罠であったことを明かします。

【主膳の登場と冷酷な宣告】
「ヤァ眼兵衛、申聞かす子細有り、暫く待て」と一間より、立出づる紙崎主膳、是はとばかり眼兵衛夫婦、更に不審は晴れやらず。

紙崎主膳「ナニ眼兵衛、娘のお來が身を賣りしは、大磯ではないわいやい」
眼兵衛「ムウ、シテ又姉が身を賣りし、其先は何處何が」


紙崎主膳「ホ、妹道芝を其方に討たせたは殿の爲、我家來を曲輪の者に仕立て身の代を與へ、買取りし姉のお來は、此主膳が詮議有つて、我方へ召捕りしは子細有り。」

主膳は、「妹(道芝)を討たせたのも、姉(お来)を身売りさせて買い取ったのも、お前が何者かを詮議するための私の計略だ」と宣言します。この直後に、前回の回答で紹介した「その刀(午王丸)はどこで手に入れた」「赤松三郎の行方を吐け」という、因縁の核心を突く詰問へと繋がっていくのです。

実際の台本のセリフから抜粋
旧錦絵之紙崎由縁鏡山・眼兵衛牛王丸乎鰹掻二手赤松之齒形

鳴るは虫おしごろた
鳴るは虫おしごろた道踏みくぢき踏みすべり
尋常ならぬ名作、鞘を振上ぐれば
御意を背き子鹿を射ざりし申譯(もうしわけ)
見送る行列小松原、ゆるぎなき君が代の、御遊の御狩勇しく

最前の死霊が消えしは、正しく武將の家の重寶午王丸
謀反成らずして亡び失せ、其後行方知れざる
詮議の種の姉が身の上様子は追つて申し聞かさん。
先づ何を差置きて不思議なるは牛王丸
不思議なるは牛王丸
眼兵衛、コリャ
眼兵衛、コリャ以前より其方の所持なるか?
身に越さぬ鰹掻き(かつおがき)?
鰹掻き(かつおがき)???

其道々噂を聞くに、先達てほろびたる赤松滿祐が
殘黨、遂鄙(ひな)の在郷に隠れ住み

徒党て事を計らふ由、下々の沙汰大方ならず

鎌倉山の朝まだき、霞とともに日をこめて
世を忍ぶなる形 も、曇り なる花曇
思ひの影の鏡山、近江路さして行く空も
片思ひなる中津川、樫上坂もいつしかに
漏らさぬ水の桶吸、 の重荷のうき寝烏
君におほ田の意中も

君が心に木がらしの、踏分て染木々々には
草葉も枯れて、サイナく
君が心は木がらしの、草に吹きしく朝の霜
木の間のしづく置きそへて……

其方に遣した其刀は、
無念こつて刀に喰付きたる
赤松が最期の齒形
赤松が最期の齒形

犬淵藤内、心得主膳が小柄の手裏剣
丁ど來かとる雪平が、一人も残らず響し

切つて捨てたる老の髪、未来を契る友白髪
先立つ無情の鐘の聲、風にちりんぐ散る花の
盛は雪と消え果てと、月の出汐に立出づる...

アーティスト情報