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18世紀のアイルランドに、ドミニク・マンガン Dominick Mungan (1715-c.1787) という盲目のハープ奏者がいた。彼の繊細なタッチは、楽器のそばまで近づかなければ聞こえないほどの、ささやくような音色だったといわれる。だが、マンガンの死後、並の奏者の間では喧しくかき鳴らす奏法が主流になった。独自の美意識が失われたことで、中世より続く芸術の衰退を嘆く声が聞こえた。「妖精の鐘」にたとえられた古いアイリッシュ・ハープの伝統は、ついに19世紀末に途絶えることとなる。本作は、寺本圭佑自身が制作した金属弦アイリッシュ・ハープ一本でカロランやケルトの名曲全19曲を収録。研究に基づく爪を用いた古様式で奏でられる。
2016年に設計、製作し、日本画家の妻、中井智子が美しい装飾を施した27弦の金属弦ハープ (op.65) を用いています。
2018年に発表したCDアルバム「ドミニク」から配信用に再編集したものです。フルヴァージョンはこちらから購入できます。https://cinamon.thebase.in/items/18698106
寺本圭佑(てらもとけいすけ)ハープ 京都市出身、横浜市在住。雨田光示氏にハープ、坂上真清氏にネオ・アイリッシュ・ハープ、樋口隆一氏に音楽学を師事し、失われたアイリッシュ・ハープの音楽美意識を追求。18世紀以前のアイリッシュ・ハープの研究により芸術学博士(明治学院大学大学院)。2017年と22年、BS-TBS「こころふれあい紀行~音と匠の旅~」にアイリッシュ・ハープ研究家として出演。ケルトの音色を現代によみがえらせる活動を取り上げられる。『ケルト文化事典』(東京堂出版)の「ハープ」「オカロラン」等、『浜松市楽器博物館総合案内図録2020』「アイリッシュ・ハープ」の項目を担当。横浜と京都でハープ教室を開講し400名以上を指導。2014年から独学で347台以上のハープを制作(2025年4月現在)。この楽器の普及活動に役立てている。2022年『20弦ハープで奏でる366の曲集』を上梓。2024年3月22日から毎日18時に自作ハープによる演奏動画をYouTubeにアップしている。www.youtube.com/@telynmoto