

夜更けの洗面台 白い光
指に冷たい 硝子の管
扉(ドア)の足元 宛名なき袋
風邪のせいだと 脇に挟む
地下へ降りる 無言の箱
いつも一つ 空けた距離
十六号の 遠い振動
名も無きままで よかったのに
銀色の線 ふいに昇る
透かした目盛り 微熱の合図(サイン)
三十七度 二分の迷い
体はとうに 気づいている
振り返らない 昨日の背中
閉じ込めた熱 輪郭を持つ
薬で消える 熱じゃないから
次の盤(レコード) 手が止まる
名前をつけて 壊れるよりも
金網(フェンス)のそとで 眺めていた
嘘を吐けない 水銀の線
私の逃げ道 塞いでゆく
振り下ろせない 水銀の熱
窓の下には 録音室(スタジオ)の灯
無かった事に もう出来ない
手放すには 静かすぎて
箱(ケース)に戻さず 窓辺に置く
足元の灯り ふいに消える
三十七度 二分の指定席(シート)
指の余熱 抱きしめて
- 作詞者
Akemi
- 作曲者
Akemi
- プロデューサー
nanayon music
- ミキシングエンジニア
nanayon music
- ボーカル
Akemi

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微熱のマーキュリー
Akemi
「微熱のマーキュリー」は、風邪だと思い込んでいた熱の正体に気づく瞬間――感情に名前をつけることを避けてきた女性の静かな自覚を描いたミディアムテンポのシティポップ。
夜更けの洗面台、硝子の体温計、扉の足元に置かれた宛名のない袋、エレベーターで一つ分空けた距離、そして銀色の線がふいに昇る目盛り――日常の中に紛れた匿名の温もりが、「風邪のせい」では片づけられない熱の輪郭を浮かび上がらせる。
架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、名前をつければ壊れると知っているからこそ関係を定義せずに過ごしてきた、それでも体が先に答えを出してしまう大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやシティポップが持っていた、都会の夜、洗面台の蛍光灯、体温の揺れ、匿名の距離感を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。
水銀を振り下ろせばなかったことにできる。けれど37.2度を示したまま体温計を窓辺に横たえる指先が、リセットを拒んでいる。
この微熱を手放せない自分をそのまま抱きしめる――そんな無言の自覚を描いた楽曲。
Produced by nanayon music.
アーティスト情報
Akemi
1970年代後半〜80年代前半の「シティポップ/ニューミュージック」が持つ哀愁と夜の空気感を、生成AIと編集で“作品として”再構築する音楽プロジェクト。 Akemi(アケミ)は、神奈川県大和市出身という設定で生まれた架空のAIシンガー。都会の孤独、大人の恋、夜の感情を、ノワール調のシティポップとして歌う。 作詞・作曲・歌唱・ビジュアルは生成AIを制作ツールとして用いながら制作し、「AIの中にある人間味と懐かしさ」をテーマに探求している。
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