Lyric

御言 深く忠義を尽くし

隠れし心は夜に咲く花

命を賭けし誠のため

されど御身に惹かれしゆえ

袖をしめても露わな想い

背を向けし君に答えは得られず

一夜の夢を弄ばれて

身の回り風さえもつらし

仰せに従ひ笑みを装ふ

されど胸裏は波立ち候ふ

御身の影を密やかに追ひ

夢路の果てに馳せりけり

忠か恋か答へは出でず

花の如くに咲かぬ定め

誓ひ破れば我が身は尽きぬ

刹那の香にも縋りたき

この魂こそ業なりけり

絹の笑みに笑み返すふり

その裏側に利を読む眼

名もなき蕾 散るを厭はず

香に紛らせて毒 忍ばせぬ

側室 飾りて立つその影に

薄氷の如き命の綾

今宵こそはと爪をととのへ

誰よりも美しき者となる

選ばれたくてその響 隠して

微笑み交はし刃を研げり

名もなき者が飾る姿で

ただ一夜でも御側にいたし

誇り高く艶を放ちて

御心 奪ひ玉座 射止めむ

己こそが極みの煌めき

願ひ一片 抱きし胸に

月 隠れれば誰ぞ見ておる

偽り映す鏡を裂きて

たとへ争ひ傷つくともに

愛は我の手にあらむと願ふ

それが定めと心得たり

今宵も月の影を纏ひて眠る

御名を胸裏にそっと刻みぬ

咎も嫉妬も愛のかたち

夢の続きで逢ひませう